夫婦で働くこと・生活すること

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The we and the I

ミッシェル ゴンドレー監督による作品。見たのは渋谷のイメージフォーラムという、小規模な映画館だった。

青春映画っていうからどんなに青々しい話しかなって思ってみてたけど、 期待を裏切るヒューマンストーリーだった。

夏休み前の学校最終日。 うきうきな生徒たちがバスに乗り、帰路に着くまでの間、 バスの中という小さな世界で描かれる生徒たちの悩み、力関係、イラつき、恐怖、絶望、孤独。

幼少時代をアメリカですごしていたのもあるからか、 なんだかあの空気感が懐かしく感じたような。

悪いやつらは必ずバスの後ろで座って集団で群れ、悪さをする。 子供もおばあちゃんも、友達でも、 下ネタの冗談を言ったり、 ものをとりあげたり、 人の傷つくことを平気でいったり 秘密をみんなに言いふらしたり。

なにかドジをしたり失敗をすると、指を差されて笑うブラックユーモア。 でもいざ人が死んだり、取り返しのつかないことになるとはっと我に帰る感じ。

集団では意地張って態度もでかいくせに、1人になると弱い者に優しくする感じ。

ゴンドレーの作品を見るのは初めてだったけれど、 人間誰しももっている本能的な感情を、 学校上がりの生徒たちという集団、バスの中という世界でよく現れている作品だったと思う。

ちなみに、私は気がつかなかったけれど、 音楽の入れかたが自然でさすが。カメラの切り返しが上手い、バスの外の風景が少しふざけている場面があってこの監督らしい。 というのはその後、他の映画監督から聞いた話し。 なるほど、見る人によっては違った見方になるのもおもしろい。

映画は生徒が段々とおりてゆき、最後は1番家が遠い生徒がバスを降りておわるのだが、最初は夕方から始まって明るかった情景は変わり、あたりは日が沈んで真っ暗になっている。

最後まで見て、なんだか余韻にひたる、宙ぶらりんの感じで残されたような感覚になる作品。 でも、その感覚で終わるからこそ、なんだかまた見たいな、と思わせられるのかな。