黄金の街へ踏み入れたキーマちゃん
新宿は高いビルがいっぱいだけれど、長屋が連なる路地もあって。
その一つは言わずと知れたゴールデン街。
第二次世界大戦後に作られ、文化人が集まる場として有名な歌舞伎町エリアだ。
この度蓄音機演奏家のオヤビン佐藤さんがSUZU BARで演奏をすると聞いて行く機会があったのだ。
少しドキドキしながら踏み入った狭い路地は、今では違法建築になってしまうような古い建物があり、グラフィティされた壁があり、ネオンサインがあり、カウンターだけの小さいバーが連なっていた。
勝手な偏見だけれど、麻薬の売人や指が数本取れた人や、モリモリのギャルや泥酔した男女がいるのを覚悟したのだが、全然そんなのではなかった。
不思議と治安の悪さを感じることがなく、いやらしさもなく、陽気な感じだった。
若い人も外国人も多かった。
観光気分で歩いていると「うちの店こない?」と白いスーツを着たデビイ夫人似の人に声をかけられた。
「お店決まっているんです、ごめんなさい。」と答えると
「あら、あなた男じゃないのね。男かと思ったわ。」と言って去って行った。
色気が全くないと旦那に言われる毎日が頭をよぎる。
ついに、まさか、男に間違われる日がくるとは。。。
傷ついた心はさておき、お目当のお店で蓄音機の演奏を聞くことができた。
ビリィ・ホリディ&ナット・キング・コールのセットリストだった。
蓄音機は1936年、イギリス製。
手回しのゼンマイで電気がいらない仕組みにもかかわらず、しっかりした音量である。
たまに、かすれるような雑音が入るのがまたレコードの良いところだ。
お会計をして帰るとカラオケをしているお店の声も路地に響く。
しっぽりやっているお店もある。
アーティストが作品を展示しているようなことも。
いろんなお店を横目に、ゴールデン街を後にした。
馴染みがないと一見敬遠しがちな場所。
でも、文化が、アートが、ここにはあった。
また飲みに行かないと。