展示「ミッシェル・ゴンドリーの世界一周」
東京都現代美術館での展示だった。
今回、こちらの展示会では「自作ムービーを作ろう!」
というワークショップをやっていたのだが、
参加者は限られており、参加はできなかった。
入場してまず最初にレンタルビデオショップのような風貌の小屋があり、
そこには、ワークショップ参加者が作ったビデオをレンタルできるスペースがあった。
その後、展示を進んでいくとミッシェル・ゴンドリーが1000人の似顔絵を
描くプロジェクトの時に描いた絵が壁全面に張り巡らされていた。
次に、ゴンドリーが作ったプロモーションビデオが数十台のモニターで
映し出されており、それを歩きながらヘッドフォンで聴くという展示だった。
一つのプロモーションビデオにつき10秒くらいの感覚で、
違うプロモーションビデオが次々に流れていく。
モニターには通し番号が振ってあって、全モニター、
ビデオが時間差で放映されており、
それぞれ違う映像が連鎖的に流れる仕掛けがしてある。
例えば、1番モニターのプロモーションビデオを10秒見たのちに、
続きを見たければ2番モニターに歩いて行く、といった具合だ。
ここまではよかったので期待値が高まったが…
その後は「ムービーを自分で作ってみよう!」というテーマで舞台セット
(病院、カフェ、リビング、ホームレスの家など)が置いてあった。
特に説明もなく、好きに遊んで~というスタイルだった。
もともとインテリアを仕事にしていて、日頃から空間作りを得意とする
私たちからすると特に目新しいものはなかった。
強いて言えば、「良いクオリティのものでなくても、それっぽいものを置けば、
映像の角度や編集でどこまでもリアルに見えるもの」
と感心したところだろうか。
その後は舞台でミッシェル・ゴンドリーが使った小道具やジオラマなどの展示が
数個あったが、それで終了だった。
今回の展示はミッシェル・ゴンドリーのことを知るというよりも、
映像を作る楽しさを知ろう!というような感じだった。
私たち夫婦はワークショップに参加したわけでもなく、
セットを使って自分たちでなにか撮影したわけでもなかったので、
映像を作る楽しさを体験することはなかった。
映像の楽しさというテーマであるなら、ミッシェル・ゴンドリーである必要性は
全くなかったのではないだろうか。
会場側が無理矢理ミッシェル・ゴンドリーの名前を使って展示をやったのではないか、
と思ってしまうような内容だった。
結局今回、ミッシェル・ゴンドリーの作品を見ることができたのは似顔絵、
プロモーションビデオ、小道具ぐらいで、その他彼の作品紹介や解説などあまりなく、
得るものも少なかった。
やはり映像作家の展示は難しいのだろうか。