かぐ02 THEいす
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「ザ・椅子といったら?」
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わたしにとって、候補が5脚くらいあるが・・・。
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ひとつに絞れば、水之江チェアですかね。
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椅子のあるべき姿、座り心地、素材構成の素直さ。
日本人にフィットする少し小ぶりな椅子。
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一見なんてことない椅子。
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実際、見てみたら「ふつう」だと思うだろう。
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いや、ここまで「ふつう」に良い椅子は無いだろう。
ダイニングチェアとして何十年と使い続けたい椅子。
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デザイナー水之江忠臣は、この椅子の製品化のために試作を百回近く繰り返したという。
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私がはじめて、この椅子出会ったのは、学生の時。
学校の工房でバラバラになった水之江チェアでした。
バラバラじゃ座れないじゃないか!
しかしどうしても、座り心地を確かめたくて、家具屋に座りにいったのを覚えています。
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水之江チェアは普遍的な良さがあります。
機能面も価格面も優れています。
そして、素朴ながらも美しい造形と素材感。
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木目がはっきりしたナラ合板の座と背が味を出してゆく。
ジーパンも目が粗い方が味が出るでしょ。
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フレームはブナ材。
木目も均一で家具材としては一般的に使われるシンプルな素材。
まったく贅沢ではありません。
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そして何よりこの椅子、座り心地よい。
田舎のおばあちゃんの作る素朴で美味しい料理のような椅子。
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こういった家具を一生のテーマにデザインし続けたデザイン理念に感銘。
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彼はこんな事を言っていたらしい。
「デザイナーは一生にひとつ本当に良いモノを残せたら良い。」
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天童木工 小椅子 S0507N
水之江忠臣(1921〜1977)の代表作の一つ。
はじめ神奈川県立図書館の閲覧室用の椅子として1954年にデザインされた。
のち、自身によりリデザインを繰り返し製品化。
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