かぐ03 THEざいす
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私がはじめてデザインした椅子は「座椅子」でした。
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なぜ座椅子をつくったのか。
ある「座イス」の影響です。
私の椅子に対する考えが変化するきっかけとなりました。
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椅子に興味はあっても「座椅子なんて」まともに座ったことないし、
現代的でもないし、全く興味の対象ではなかった。
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しかしこの座イスに出会って「座椅子なんて」とは言えなくなった。
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底の部分が軽く湾曲しているのが分かるだろうか。
畳を傷つけないように湾曲している。
そして少しロッキングする。
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それらのちょっとした機能がとても重要。
機能が何気なくデザインの一部として形に溶け込んでいる。
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「三角の木の部分」がポイント。
木のフレームは「背もたれ部分」と「底の前と後」の三方向に伸びています。
この三方の重なる所にある「三角の木の部分」。
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この部分が「駒入れ成型」「ラケット構造」という特殊な造りになっている。
この造りが、この座イスの機能と美しさをまとめあげている。
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また、木部(フレーム)と生地部(座と背)が無駄なく構成されている点も美しい。
接合部分にビスやネジもなく、座と背にも木板が含まれているが見えるのは生地のみ。
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シンプルだが、とても深みのあるデザインだ。
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この座イスのデザイナー垂見健三は家具を壊すのが日課でした。
何十万円もする名作椅子の接合部分を切ったりして、分解。
どこにどんな材料を使っているのか。
どんな技術で作っているのか。
とことん分析。
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そんな研究に裏付けされたデザイン技術。
この座イスには、表面的に見えない所に生きている。
それが分かった時、「座椅子なんて」とは言えなくなったのです。
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天童木工 座イス
家具デザイナー垂見健三の代表作。
日本が誇る家具メーカー天童木工から製品化されていた。
いま販売しているかは不明。
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