たてもの02 サヴォア邸
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1931年竣工。鉄筋コンクリート造。
フランス、パリ郊外のポワッシーにある住宅。
20世紀住宅の最高作品の一つでありことは間違いないであろう。
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この家にはテーマがあって「明るい時間」と名付けられていたそう。
保険会社を経営するサヴォア夫妻が週末を過ごす為の別荘として建築された。
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現在この建物は見学可能なので一般の人でも好きに中に入れる。
まぁ、フランスですけど...
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ル・コルビュジェは「住宅は住むための機械である。」と言っていました。
機械というとなんだか、良い印象ではないでしょうが、
あるシステムや理念のもと設計していたのです。
ちょっと難しい話ですが、彼が掲げたのが「近代建築の五原則」というもの。
五原則とは、ピロティ・屋上庭園・自由なプラン・水平連続窓・自由なファザード
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すみません.. 難しい話はこのくらいにして。
この建物の魅力みていこうと思います。
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視覚的に流れある空間。
外部から内部、そして屋上まで空間に連続性がある。
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まず外からこの建物みると二階部分より上部が浮いて見えます。
そして、エントランスのある一階部分に吸い込まれるように導かれる。
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一階から二階へ。美しい螺旋階段か緩やかなスロープによって導かれる。
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そして、二階にある太陽光に満ちた長方形の広いリビング。
まさに「明るい時間」。
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長辺はすべて屋上庭園を一望できる大きなガラス窓。
まず屋上に行きたくなってしまいます。
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オブジェのような美しさ。
ほんとに、この建物をはじめ見たとき芝生の上に置かれたオブジェのようだと思った。
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内部も壁がブルーに塗られていたり、リビングの壁一面がサーモンピンクだったりする。
(現在は完成当初のオリジナルカラーとは異なる可能性もある。)
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水色のタイルの浴槽と黒タイルの寝椅子風スペースが、ユーモアあるバスルームになっている。
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また、キッチンも白いタイルを有効的につかっていて良い。
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ここで、またややこしい話に戻りますが、
サヴォア邸は「近代建築の五原則」のすべてが完成度高く実現されている建物です。
こうしてサヴォア邸に触れてみると割と簡単に「近代建築の五原則」とは何か分かります。
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ピロティ:支柱のこと。昔のレンガ造と違い、壁でなく支柱が構造となる。建物を浮かせる。
屋上庭園:屋上を緑化し庭園を設ける。断熱効果もある。
自由なプラン:支柱によって、壁から束縛されずに空間をつくれる。広いリビング等。
水平連続窓:壁から解放され、大きな横長の窓が明るく開放的な空間つくる。
自由なファザード:窓や壁を自由に配置し様々な顔(ファザード)がつくれる。
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コルビュジェのこうした思想は現在の建築に大きな影響を与えています。
ただ、すべてがコルビュジェの目指した方向へ進んだ訳ではありません。
すぐれたシステムや機械が必ずしも人々を幸せに出来るとは限りません。
現代のインターネットの問題や未来のロボットの問題もそうです。
どう人間がシステムや機械と向き合うかです。
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実際この素晴らしい住宅はサヴォア夫妻からクレームが起きたそうです。
建築中のコストの問題。
住み始めて半年程で起きた雨漏り。
断熱の問題。
人の住めるしろものではないと決別の手紙まで。
住む側からしてみれば理想の建物とはいかなかったのです...
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しかし、80年近くたった今でもサヴォア邸には
多くの人が訪れ感動し、世界的に影響を与え続けているのです。
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ル・コルビュジエ Le Corbusier (1887-1965)
スイスで生まれ。本名はシャルル=エドゥアール・ジャンヌレ=グリ。
いわずと知れた近代建築の三大巨匠の一人でフランスで主に活躍した建築家。
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